「雑学3分間 金融」 太齊利幸 著より抜粋 ■金融機関の業務改善命令 早期是正措置とは、金融当局である金融庁が、自己資本比率の基準を 下回った金融機関に対して発動する業務改善命令のことで、金融機関の 破綻を早期に防ぎ、経営の健全性を確保することを目的として1998年4月 に導入されました。 この、金融機関の経営状態の判断指標には、自己資本比率が 採用されています。 自己資本比率は、自己資本を総資産で割って算出し、この数値が大きい ほど、金融機関の健全性は高いと評価されます。 また、銀行が貸出先企業の資金返済能力を判断し、債権を正常先、 要注意先、要管理先、破綻懸念先などの区分に分類し、資産査定を行って いますが、これを「自己査定」といいます。 自己資本比率は、銀行の自己査定に基づいて算出されるもので、 正確に行われる必要が有ります。 そのため、金融庁では通常検査や特別検査を実施して、銀行の自己査定 のチェックを行っています。 自己資本比率の基準は、国際業務を行う金融機関が8%未満、 国内業務のみを行う金融機関は4%未満で、これをBIS規制といいます。 この基準を下回った金融機関には、金融庁から早期是正措置か発動され、 自己資本比率の程度に応じた業務改善指導を受けることになります。 この改善期間は、厳格化によって3年から1年に短縮されました。 ■貸し渋り、貸し剥がしの発生 BIS規制や早期是正措置の導入により、銀行は自己資本比率の確保が 必要になりました。 この自己資本比率を高めるためには、総資産の額を減らすのが手っ取り早い 方法ですが、新たな貸し出しを行うことで、不良債権を増やす危険性もあり、 銀行は貸し渋りや貸し剥がしを行ったのです。 その対応策として、政府は2002年10月に「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」 を設置し、借り手の意見や情報を収集しています。 |
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