「初心者のためのやさしい金融」 塚崎公義・山澤光太郎 著 ケイジアンは、失業者を減らすためには貨幣供給量を増やすべきだと 考える。 一方、マネタリストは、完全雇用は「神の見えざる手」で実現されるもので あり、貨幣供給量を増やしても物価が上昇するだけだと考える。 実体経済に関しては、「価格メカニズム」という「神の見えざる手」に任せて おけば、完全雇用が実現し、経済はうまくいくという考え方(古典派など)と、 神の見えざる手が機能するまでに非常に長い時間がかかるから、これを待たずに 政府が経済に介入すべきだという考え方(ケイジアン=ケインズの流れを汲む人々) があります。 こうした違いを反映して、金融と実体経済の関係についても、さまざまな考え方 が有ります。 「マネタリスト」と呼ばれる人々は、、長い目で見れば神の見えざる手が 完全雇用をもたらすので、政府が介入すべきではない(金融政策で景気を動かそう とすべきではない)と主張しています。 長期的に見ると、貨幣の供給量を増やした分がそっくり物価を上昇するだけだ というわけです。 短期的に見れば金融緩和に景気刺激効果があることは認めていますが、 「効果が出るタイミングが読めないので、次の好況期に景気を過熱させるリスクが 大きい危険な政策だ」として否定的に考えています。 一方ケインズは、大恐慌の時代に活躍した経済学者で、金融面でも政府が 介入すべきだと考えました。 貨幣の供給量を増やせば投資が刺激されて雇用が増えるというわけです。 もっとも、ケイジアンも金融緩和が万能ではないことを認めています。 本当に景気が悪い時は、「流動性のワナ」によって金融緩和の効果が 失われるので、財政政策が必要がというわけです。 |