海外ファンド、株式相場、FX外国為替取引等の投資を始める前に知っておくべき基礎知識を集めました

     <海外投資の基礎知識>

【外貨建て資産を持つ意味とは

                    「債券の基礎知識」 角川総一 著
     
     多くの個人はおそらく外貨預金や外債を購入するにしても、それは一時的な
   資産の運用として意識しているのではないか。
     言い換えると、一定の期間が経過すればそれは再び円に換えるという前提で
   、一時的に儲けるために外貨建て資産を保有するという考え方がもっぱらだと思う。

     しかし、これからはこうした考え方だけでなく、常にポートフォリオの一環として
   外貨建て資産を恒常的に持っていていい。なぜか。

     手持ちの金融資産が全て円建て商品で占められているとする。
     この場合、この金融資産の実質的な価値は経済情勢の変化に伴って、
   どのように変化していくか。
     例えば現在1ドル=100円台の為替相場が、徐々に円安方向に行けば
   どうなるか。

     経済原則の教えるところでは、円安はほとんど例外なくわが国の物価を
   引き上げる。つまり輸入インフレだ、。
     この場合には、100万円のお金であっても、実質的にはその価値が下落する。
     インフレによる通貨価値の減価だ。
     もちろんインフレ率以上での資産運用が出来ればさしあたって問題はないが、
   これは非常に難しいのが現実だ。

     この場合、金融資産の一部として外貨資産を持っていることが有効だ。

     つまり、円安・ドル高になれば手持ちの円建て金融資産の価値は下落するが、
   ドル建てで持っている金融資産の価値は上昇するわけだから、この部分では
   円安インフレに伴う資産価値の下落を防ぐことが出来る。


     物価というファクターを一切考えなければ、以上の限りでは外貨建て商品の
   運用は単なるハイリスク・ハイリターン商品でしかない。
     だが、為替相場が国内物価に及ぼす影響を加味すれば、むしろ
   外貨建て商品インフレヘッジのための商品なのである。

     これは、為替の先物オプション自体はハイリスク・ハイリターン取引であるが、輸出入業者
   にとってはむしろヘッジ手段として意識されているのと似ている。

     投資あるいは投機ヘッジとは、相反する概念ではなく、むしろ同じコインの
   裏表なのだ。


     ここでは、「外貨建て商品を持つか持たないか」jではなく、「外貨建て商品の
   保有比率を金融資産の1%にするのか、3%なのか5%なのか、10%なのか」
   という問題設定を行うべきだと思う。

     資産運用のプロである法人投資家は、常にこのような視点を持ちながら自らの
   資産を運用している。
     あるいは、将来日本に首都圏を巻き込む大地震が発生するかもしれないと
   考えるなら、積極的に外貨建ての資産を保有することが非常に有効だ。

     というのも、首都圏の機能が一次的にせよ麻痺するような大地震が起こった時
   には、日本円が売られて円安になることがほぼ確実であるからだ。
     円安は直ちにドル高を意味するが、ここでは為替差益を得ることが出来る。

     実際、損害保険会社は現在外貨建て資産(その多くは外債)を相当持っている
   が、これは単に外国債券のほうが利回りが高いことだけが理由ではない。
     それ以上に、万が一にも日本が地震などの天変地異に襲われた場合、国際的
   に見て円の価値が下落することをヘッジしようという意図があるのだ。

     


     ★★★★★★★ 日本の財政は持続可能か? ★★★★★★★

    わが国の政府財政(一般会計)は、10年ほど前の小渕政権当時から
   赤字国債に頼ってきた。
    その赤字国債の累積が850兆円を超え、一説には地方自治体・特殊法人の
   隠れ借金まで含めると、1,200兆円を超えるといわれている。

    このような不摂生な財政を続けることは、可能なんでしょうか?
    平成18年度と平成19年度の歳入歳出予算より、考察してみます。


    下記は、「平成19年度一般会計歳入歳出概要」(平成18年12月24日発行)
   のインターネット公開資料から、抜粋したものです。
    
                   平成18年度    平成19年度
     歳入の部(単位:兆円)
        租税及び印紙収入   45.9(57.6%)    53.5(64.5%)
        その他収入       3.8(4.8%)     4.0(4.8%)
        公債金        30.0(37.6%)    25.4(30.7%)
         合計        79.7(100%)     82.9(100%)

     歳出の部(単位:兆円)
        国債費        18.8(23.6%)    21.0(25.3%)
        地方交付税交付金   14.6(18.2%)    14.9(18.0%)
        一般歳出       46.4(58.2%)    47.0(56.7%)
         合計        79.7(100%)     82.9(100%)

     歳出を項目別に多い順に並べますと
        社会保障費      20.6(25.8%)    21.1(25.5%)
        国債費        18.8(23.6%)    21.0(25.3%)
        地方交付税      14.6(18.3%)    14.9(18.0%)
        公共事業        7.2(9.0%)     6.9(8.3%)
        文教及び科学振興    5.3        5.3
        その他事項       5.1        5.2
        防衛費         4.8        4.8
        経済協力・エネルギー対策他 2.3        2.8
        恩給関係        1.0        0.9

 
    支出と効果(恩恵?)を分析すれば、無駄使いと思われる項目は沢山
   ありますが、そのテーマは別に譲るとして、財政の健全性を保つ視点から
   国債費よりも、公債金額のほうが平成18年度は11.2兆円、19年度は
   4.4兆円多いこと。
    これは、毎年赤字国債の発行額が、国債の利払い及び満期償還金よりも
   大きく、累積赤字が相も変わらず増え続けていることを意味します。

    日本国は、こんな財政を10年数年以上にわたり、平気で続け、今やその累計
   金額が GDP(約500兆円)の1.7倍〜2.4倍になってしまったのです。

    一般論ですが、国の財政破綻が起きるのは、GDPの2倍から2.5倍位
   累積赤字が溜まった時だそうです。
    ローマ帝国も、大英帝国もブラジルもトルコも、その辺りの水準から
   国がおかしくなっていったようです。
    すると、日本はすでに警戒水準を越えていることになります。

    もうひとつ、「個人国債の発行」も最終警告の証とする説もあります。
    過去、国の借金を機関投資家が引き受けてくれなくなって、やむを得ず
   個人に頼った事例では、その後、ほとんどの国が破綻しました。
    債券を発行する側からの理論では、金融機関よりも有利な条件(低金利)
   で発行できるからです。
    きつい表現をすれば、個人の金融知識の弱みにつけ込んだ集金システム
   と言えるかもしれません。
    当然?個人投資家には、国家財政破綻(デフォルト)の想定はないと
   想像するからです。 ご参考→買ってはいけない!個人国債


    日本国にとって、最も罪作りなのは、財務官僚が「借換債」という化け物
   を発明したこと。
    赤字国債が満期償還になった時に、借金返済の財源不足を補うために、
   通常の赤字国債(発行に国会の承認が必要)とは別に、国会の審議が不要な
   「借換え債」を発行して、その金(借金)で、支払うという仕組みです。

    国は、借金で借金を返しながら、その借金総額を雪だるまのごとく
   増加し続けているのです

    サラ金の借金を別のサラ金から借りて払う、自転車操業(サラ金地獄)
   
と、なんらかわりません。

    個人であれば、とっくに金融機関から見放されているはずですが、国が
   発行した借金証書(借換え債)には、国の担保がついていると信用している
   或いは、国家権力で保護されてきた金融機関は、地獄までの道連れと覚悟を
   決めているのかもしれません。
    極論ですが、「金融機関は、国にだまされている(脅されている)」と
   考えざるを得ません。

    借換え債の仕組みさえあれば、赤字国債の償還金が膨らむのを心配しない
   で、好きなだけ発行できることになります。

    頭の良い財務官僚ですから、国会審議で厳しく追求される「一般会計」とは
   別の帳簿外で発行できる逃げ道を考えたのは流石です。
    こんな便利な仕組みに、利権アサリの無責任政治家が乗らないはずは無い
   でしょう。

    しかし、いずれは「ババを引く」ものがいなくなると(国債札割れ)、
   次年度予算策定ができなくなる事態が訪れることを危惧します。

    既に財政の累積赤字は、引き返すことのできない水準を越え
   「破綻するか否かでなく、破綻時期はいつか、が問題である」段階です。
    

    森本亮氏は、「借換え債」を評して、「亡国の技巧」と警告しておられ
   ます。 日本国破産への最終警告・森木亮著

    世界第二位の経済規模を誇る我が日本ですから、専売特許の
   「問題の先送り」を繰り返しながら回復をはかるでしょうから、経済に神風
   が吹けば、破綻しないかもしれません。

    しかし、重要なことは、「リスク管理」の思考です。
    財政破綻は起きないかもしれないが、起きる可能性もある。
    「可能性がある限り、それに備えるべき」というのが、私の基本スタンス
   ですから、想定されるリスクに対しては、対策も必要と判断いたします。

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        →定期預金や郵便貯金は欠陥商品          →ABS/SPC(特別目的会社)    →ALM(Assets and Liabilities)
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