「初心者のためのやさしい金融」 塚崎公義・山澤光太郎 著 貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計を経常収支と呼ぶ。 対外純資産残高の本源的な出所である。 直接投資、証券投資などの出入りの差額が資本収支である。 経常収支と資本収支の差額は外貨準備の増減と等しい。 自動車やパソコンといった財の輸出から、財の輸入を引いた金額が貿易収支 です。 日本人が海外旅行で使ったお金は、海外からサービスを輸入したということで サービス収支の赤字要因となります。 日本の銀行が保有している米国債から利子収入が有れば、これは所得収支 に計上されます。 日本政府が途上国の援助を行うと、その一部が経常移転収支の赤字要因 となります。 以上のような取引の合計を経常収支と呼び、国際収支統計の中で最も注目 されている数字の一つです。 経常収支は、家計で言えば給料から消費額を引いた残りに相当し、これが 黒字なら国の対外資産が増えることになります。 もっとも、持っている株が値下がりしたというような場合にはこの限りでは ありませんが。 これに対し、直接投資、証券投資などの出入りの差は資本収支と呼ばれ ます。 対外投資が対内投資よりも多いと資本収支は赤字になります。 銀行間の国際的な貸し借りなども資本収支に入ります。 家計で言えば、株式投資や住宅投資を行うイメージでしょう。 預金が株式に振り変わったり、借金で家を買ったりしても、家計の純資産には 変化がありません。 同様に、資本収支内部の振り替りは、国の対外純資産残高には影響を 及ぼしません。 経常収支黒字は、資本収支の赤字と外貨準備増加額の合計に等しくなり ます。 輸出超過分の外貨資産は廻り廻って誰かが持つということです。 |