「初心者のためのやさしい金融」 塚崎公義・山澤光太郎 著 企業や銀行が資産として保有している貸付債券や不動産などを流動化し 、投資家に売却して資金を調達する手法。 特別目的会社などを作り、そこに資産を売却し、特別目的会社が発行する 債券を投資家に売って売却資産の代金を受け取る仕組みが多い。 ある企業がペーパーカンパニー(実態のない会社)を作り、そこに保有する 賃借ビルを譲渡したとします。 その会社が社債を発行し、社債発行代金として投資家から受け取った資金を 企業からの賃借ビル購入代金に充当するようなスキームを、「賃借ビルの証券化」 と呼んでいます。 ペーパーカンパニーは、企業から譲り受けた賃借ビルからの家賃収入で 社債の返済を行っていくというわけです。 賃借ビルだけでなく、住宅ローンや自動車ローンなども証券化することが 出来ます。 この際に発行される証券を、資産担保証券(ABS証券)と呼びます。 証券化することにより、企業や銀行は資産を売却して資金を得た形になる ため、得た資金で借金を返せばバランスシートが身軽になります(資産と負債 が両建てで小さくなります)。 ROA(総資産利益率)を高めようと考える企業にとって、総資産が小さくなる ことはプラスだといえるでしょう。 また、銀行にとっては、貸し出しなどのリスク資産を圧縮することは、BIS規制 (自己資本の額をリスク試算の8%以上に保たせる規制)をクリアするために有益 です。 また、資金調達の手段としても証券化は役に立ちます。 資産の一部を譲り受けたペーパーカンパニーが高い格付けを取得する方が、 信用力の低い企業が担保付で資金を調達するよりも、低利で資金を調達できる 場合もあるからです。 |