「初心者のためのやさしい金融」 塚崎公義・山澤光太郎 著 政府が自国通貨とドル(またはユーロなど)の交換比率を決めている場合を 固定相場制と呼ぶ。 政府が決めるのではなく、市場の需要と供給が一致するところで交換比率が 決まる場合を変動相場制と呼ぶ。日本は変動相場制を採用している。 戦後しばらくの間、日本政府は1ドルを360円と決めていました。 今でも自国通貨とドルまたはユーロの交換比率(為替レート)を政府が決めて いる国は数多く有ります。 こうした制度を固定相場制と呼びます。 一方、現在の日本では、円とドルの交換比率は市場の需給に任せ、政府は 原則として為替レートに介入しないということになっています。 こうした制度を変動相場制と呼びます。 為替レートは経済にとって極めて重要です。 例えば1個150円で作れるものを1ドルで輸出している企業は、為替レートが 1ドル=200円ならば、1個輸出するごとに50円の儲けが出ますが、1ドル=100円 になると50円の損が出てしまうからです。 このため、変動相場制であっても、為替レートが急激かつ大幅に変動した ような場合は、政府が外国為替市場に介入して為替レートの動きをコントロール しようとすることが有ります。 企業としても、将来の為替レートがわからないと輸出計画や生産計画が立てられ ないので、銀行との間で「あらかじめ定めた為替レートでドルなどを将来売り買いする」 ことを約束することが有ります。 これを「為替予約」と呼びます。 為替相場が大きく動いて損をする可能性があることを「為替リスク」と呼び、 これを避けるために為替予約を行ったりすることを「為替ヘッジ」と呼びます。 |